組織のライフサイクルから考える学生団体の在り方

人と同じように組織にもライフサイクルがあります。
急成長する時期もあれば、伸び悩む時期もある。
常に急成長し続ける組織はありませんし、あったとしたら逆に危険です。

人が小学生から大人まで段階を踏んで成長するように、
組織も成長を段階ごとに分けることができます。
いくら素晴らしい団体があって、それを見本に活動しようとしても、
組織のフェーズ(段階)が違うと真似したとしても逆効果です。


そこで、今回は組織のライフサイクルとそのフェーズごとにおける組織の在り方を伝えます。
自分の学生団体が今どの段階にいるのか理解することで、
これからどういったアクションを取ればいいのか参考になれば幸いです。

第1フェーズ:創業者中心

どんな組織も学生団体も、まず初めは「やりたい!」と誰かが声を上げることから始まるでしょう。
このとき、創業者のやりたいこと,目標=組織の目標になることが多いですし、
人数が少ないぶん、メンバーたちの想いが組織全体に反映されやすいです。

この段階で求められるのは「革新性/創造性」です。
既にあるものであれば既存の組織でやればいいですし、新しく始める必要はありません。
もちろん何もないような状態からのスタートですから、
思い通りにいかないことも多いだろうし、理想とかけ離れることもあると思います。

そういったなかで、創業者であるリーダーがどれだけ頑張るか、
これでこのフェーズでの成長具合が決まるといっても過言ではないかと思います。
リーダーがより明確なビジョンを持ち、メンバーを巻き込み、組織をまとめ上げる。
どんな活動をするのか、どんな目標を立てどこに向かうのか、
こういったことを徹底的にやっていくことで、初期段階での組織は一気に成長します。

[ポイント] 創業者がビジョンを明確に持ち組織の方向性を定める。

第2フェーズ:共同体形成

最近の学生団体がつまずくことが多いのがこの第2フェーズです。
第1フェーズで創業者中心に創りあげた組織を引き継ぐ段階になります。

このフェーズで気を付けておきたいことは、
「権限だけでなくスキルの引継ぎを行うこと」です。
ただ代表の座を譲っただけでは引継ぎでは言えず、
その代表が務めていた役割を全て自分たちでできるような形にしなくてはいけません。
ただそれを代表から次の代表に引き継ぐのでは結局第1フェーズの創業者中心と変わりません。
また、創業者は大概優秀なことが多く、その全てを引き継げる器が出ることも中々難しいです。

そこで「共同体形成」が行われます。
創業者から各リーダーへとスキルと権限が分配されていきます。
また、創業者の想いは組織の想いへと変わり、団体理念として残ります。
決して1人で引き継ぐのではなく、組織全体で引き継ぐのが大事なポイントです。

例えば、代表の役割を”代表”副代表”会計”で担ってもいい。
営業をまとめていたのであれば、その部分は営業統括という役職を作ればいい。
各部署の最終チェックは代表ではなく、各部署ごとで行なっていく。
そういった形で、創業者から組織へと引継ぎを行なっていきます。

最近の学生団体がこのフェーズで失敗する理由として、
「代表の存在が大きい」ことと「第1フェーズからの移行の時期が早い」ことが挙げられます。
twitterなどソーシャルメディアで人を集めやすくなり、昔より急成長がしやすくなっています。
それを3年生など高学年でも行うことができるため、スキルの格差が少なからず生まれることもあります。
学生には4年間という時間の縛りがあるため、どうしても引継ぎをしなくてはならず、
けれども急成長したため引継ぎきれない事態が起こります。
また、メンバーも幅広い学年や大学から集めているため、組織自体が不安定です。
そういった理由でこのフェーズで静かになる学生団体が多いです。

[ポイント] 創業者から組織全体へスキルと権限の譲渡を行う

第3フェーズ:公式化(官僚化)

この段階にくると組織としてはかなりの安定期だといえます。
昔から長く続いているような学生団体、大学公認のサークルはこのフェーズに多いです。

このフェーズでは「組織の効率化」が図られます。
組織のルールが少しずつ出来てきて、活動日や大事な行事の日程など、
今まではっきりとは定まってなかったことがどんどん確立されていきます。
日々の活動に関しても、今までのノウハウや経験があるため、
より良い活動ができ、活動の成果もどんどん良くなっていきます。
この段階になると団体の色が出てきて、「文化」が生まれていきます。

ただ懸念点としては「官僚制の逆機能」が働くことです。
組織として経験なども溜まり先輩やOBの存在が大きくなります。
組織に長くいたほうが詳しくなり専門性も高くなるため団体内では優秀になります。
また、効率化され最適だと思われる団体のルールも多くあります。
つまり、いわゆる”官僚制”と同じ状態になっていきます。
それに対し、息苦しさややりにくさを感じる人が出るのが「官僚制の逆機能」です。

組織の発展のために、ある程度の官僚制は必要ではあるのですが、
それが行き過ぎるとリーダー気質や個性的な人材が組織から離れやすいです。
「効率化」と「自由度」の兼ね合いがとても難しいですが、
それが組織の文化としてどういった方向でいくのか定めつつ進めていきます。
そういったなかで組織として少しずつ成長していくのがこのフェーズです。

[ポイント] 組織の文化を作り上げていく

第4フェーズ:精巧化(分権化)

最後のフェーズとしては「組織のチーム化」が起こります。
正直、学生団体でこのフェーズまでいくことはあまりないと思うのですが、
企業でいうと「子会社設立」「会社から独立」が近いです。
学生団体でいうと「支部設立」がこれに一番近いでしょうか。

組織が成長していくとともに、各々の活動もより精巧化されます。
この段階では、代表が各部署全てにアドバイスできるレベルではなく、
各部署のトップが責任者で、代表は組織運営だけに回ることが多いです。
だからこそ、各部署がチカラを持っていき「組織のチーム化」が起こります。

団体としての規模も大分大きくなっているはずなので、
1つの組織に属している感覚よりも1つのチームに属している意識が高くなり、
団体としての統一感やまとまりが薄まっていくのがこのフェーズです。

また、場合によっては団体を抜けて、新しい団体を作る人が出てきます。
ここまで大きくなると、全ての人が完全に満足することは難しく、
活発的な学生が団体の枠を飛び出して活動を始めていったり、
団体の掛け持ちをするメンバーもそれなりに出てくるはずです。

それらは決して悪いことではないのですが、
あえて組織全体を良くするために出来ることといえば、
団体の枠を飛び出したメンバーと仲良くすることで、
今ある組織をより大きなグループへと育て上げていくことです。
そうやって拡大させていくことで学生団体という枠を越えて、
より大きな形へと進化することが可能になるのでは、と思います。

[ポイント] 学生団体の枠を超える




組織のライフサイクルを通して各フェーズごとにどういったことに注意すればいいか、
なにが組織の成長に繋がるのかまとめてみましたが、どうでしたでしょうか?

ぜひ自分たちの学生団体がどの段階にいるのか、
どういった点を直すことで次のフェーズへと進んでいけるのか、考えてみてください。